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ドイツで揉まれただけのことはある中村俊輔
現在のサッカー日本代表のどの選手も勿論好きですが、サッカーを見る目がある程度養われたという実感がある1998年フランスW杯以降、最も思い入れを持って見つめていたのは、高原直泰選手です。
日本ではスルーパスを出すMFの選手がもてはやされる感がありますが、サッカーは結局のところゴールを決めてナンボのスポーツです。だから私はFWの選手にこだわります。
2002年の日韓大会は、エコノミークラス症候群で代表に選ばれなかったのは本当に残念でした。
日韓大会の2か月前に行われた、ポーランドとの親善試合はヨーロッパで行われたアウエーの試合で日本が初めて勝利を収めた試合でしたが、高原選手はその試合でゴールを決めています。ゴールを決める前にシュートを空振りしたのはご愛敬でしたが、それでも決めるところに決定力の高さが現れていました。
高原選手が選ばれていれば、ひょっとするとベスト16より更に上に行けたかも知れないという思いでいっぱいです。
高原選手は日韓大会の後ドイツに渡りましたが、きっと出場出来なかった悔しさを力に変えたのでしょう。ドイツに渡った後の初ゴールが世界屈指のGK、ドイツ代表オリバー・カーン選手がゴールマウスを守るバイエルンミュンヘン戦だったのも印象に残っています。
私は、高原選手の初ゴールは絶対にカーン選手が相手の時に生まれるという予感がありました。
根拠のない予感ではありません。
バイエルンとの対戦前、ドイツに渡ってから確か3試合目、そろそろゴールが生まれる頃という予感。
カーン選手は803分無失点、無失点もいつまでも続かないことを考えるとタイミング的にカーン選手からゴールを決める可能性は十分と思っていましたが、予感が的中したのは本当に嬉しかったと共にあのカーン選手からゴールを決めたことで、日本人もここまでやれるんだと本当に大きな自信を得たゴールでした。
高原選手が、さすがドイツで揉まれただけのことはあると唸らせたゴールが、2007年のアジアカップのオーストラリア戦で決めたゴールでした。
高原選手の前にはDFが密集していて殆どシュートコースは無いように見えましたが、高原選手が放ったシュートはほんの僅かなスペースを破ってゴールネットに突き刺さりました。正しくワールドクラスのゴールでした。
この年は高原選手のドイツでのキャリアハイのシーズンでもあり、特に印象に残っているゴールです。
高原選手は現在我が地元のSC相模原でプレーしていますが、私にとっては何か縁のようなものを感じます。我が地元で応援しています。少しでも長く活躍して欲しいと思います。